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2017.05.25

カスタマージャーニーマップ作成ワークショップを成功に導く実践の手順と組織の合意形成

カスタマージャーニーマップ作成ワークショップを成功に導く実践の手順と組織の合意形成

デジタル接点が多様化する現代のビジネスにおいて、顧客がどのような体験を経て自社サービスに到達し、活用しているかを可視化する「カスタマージャーニーマップ」の重要性は一段と高まっています。しかし、マーケティング担当者が一人で作成したマップは、現場の感覚と乖離したり、他部門の理解を得られなかったりする課題に直面しがちです。こうした壁を乗り越え、実効性のある施策を生み出すためには、関係者を巻き込んだワークショップ形式での作成が極めて有効です。

株式会社ドラマでは、多くの企業様のUXデザインやサービス設計を支援してきました。その経験から、ワークショップを通じた合意形成こそが、プロジェクトを成功させる鍵であると確信しています。本記事では、成果を最大化するためのカスタマージャーニーマップ作成ワークショップの進め方と、失敗を防ぐための具体的なノウハウを詳しく解説します。

目次

なぜカスタマージャーニーマップ作成にワークショップが必要なのか

カスタマージャーニーマップは、単なるドキュメントではありません。それは組織が「顧客視点」で一貫したアクションを取るための羅針盤です。なぜワークショップ形式が選ばれるのか、その理由を深く掘り下げます。

部門間の認識のズレを解消する

Web担当者、営業、カスタマーサポートなど、部署によって顧客との接点は異なります。それぞれが抱く「顧客像」は断片的になりやすく、組織全体で一貫した顧客体験を提供することを妨げる要因となります。ワークショップでは、異なる部門のメンバーが一堂に会し、各々が持つ情報を共有します。これにより、個人の思い込みを排除し、組織としての共通言語を構築できるのです。

多角的な視点から「顧客の真実」を掘り下げる

一人の担当者がマップを作ると、どうしても自分の専門領域や都合の良い解釈に偏りがちです。例えば、開発サイドは機能面に目を向け、Web担当者はコンバージョン率に固執するといった具合です。ワークショップ形式を取り入れ、多角的な視点をぶつけ合わせることで、これまで見落としていた顧客の「不満」や「期待」といった深いインサイトに到達できます。

ワークショップの成果を左右する事前準備の鉄則

当日集まったメンバーの「なんとなくの想像」で進めてしまうワークショップは、成功から遠ざかります。準備こそが成果の8割を決めると言っても過言ではありません。

ターゲットとなるペルソナの具体化

「30代、主婦、都内在住」といった属性情報だけでは、具体的なジャーニーは描けません。どのような悩みを持ち、何をきっかけに情報収集を始めるのか。生活習慣や価値観までを定義したペルソナを事前に用意しておく必要があります。株式会社ドラマでは、ワークショップの前に詳細なヒアリングやインタビューを行い、解像度の高いペルソナ像を定義することを推奨しています。

調査データとエビデンスの整理

ワークショップでの議論を空論にしないためには、根拠となるデータが不可欠です。GoogleアナリティクスなどのWeb解析データ、過去のユーザーアンケート、コールセンターに寄せられた要望など、事実に基づいた資料を手元に揃えておきましょう。これらが議論の「錨(いかり)」となり、発散しすぎる議論を正しい方向へ導いてくれます。

実践:ワークショップの標準的な進め方

実際のワークショップでは、時間を区切り、集中してステップを踏んでいくことが大切です。一般的な3〜4時間のプログラムを想定した手順をご紹介します。

ステップ1:ユーザー行動と接点の洗い出し

まずは、ペルソナがサービスを認知してから検討、購入、その後のサポートに至るまでの「行動」を時間軸に沿って書き出します。このとき、Webサイトだけでなく、SNS、店舗、知人の口コミなど、あらゆる「接点(タッチポイント)」を漏れなく抽出することがポイントです。付箋を活用して、思いつく限り書き出していくことで、顧客の行動全体像が浮かび上がります。

ステップ2:思考と感情の揺れ動きを可視化

行動が洗い出せたら、その時々のユーザーの「感情」と「思考」を想像し、曲線グラフなどで表現します。どの段階でワクワクし、どの段階で不安やストレスを感じているのかを可視化します。特に、感情がマイナスに振れている部分は、改善の大きなチャンスとなる「真実の瞬間(Moment of Truth)」である場合が多いのです。ここでは、参加者がペルソナになりきって考えることが求められます。

ステップ3:課題の抽出と施策のアイデア出し

感情が落ち込んでいる箇所や、接点が途切れている箇所を「課題」として特定します。その課題を解決し、理想的な顧客体験(UX)を実現するために、自分たちは何をすべきかを議論します。ここでは制限を設けず、自由な発想でアイデアを出し合うことが重要です。最終的には、それらを優先度順に整理し、具体的なアクションプランへと落とし込んでいきます。

ワークショップを成功させるファシリテーションの極意

ワークショップの場で、一部の声が大きい人の意見に流されたり、議論が脱線したりすることはよくある光景です。ファシリテーターは、参加者全員が平等に発言できる環境を整えなければなりません。「その行動のとき、ユーザーは本当にそう思いますか?」と、常に顧客視点に立ち返る問いかけを投げることが、議論を本質的なものへと昇華させます。

また、完璧なマップを作ろうとせず、まずは「作り切る」ことを優先する時間配分も重要です。一度のワークショップで全てを網羅しようとするのではなく、まずは粗くても良いので全体の骨組みを完成させ、後から詳細を詰めていく方が、結果として質の高いアウトプットにつながります。

作成したマップを「絵に描いた餅」にしないために

ワークショップで作成したマップは、きれいな資料として清書するだけでは意味がありません。最も重要なのは、そこから導き出された施策を実行し、検証し続けることです。ジャーニーマップは「仮説」の集合体です。実際の顧客行動がマップと異なっていれば、その都度修正していく必要があります。組織全体でマップを定期的に見直し、アップデートし続ける文化を醸成することこそ、真のカスタマーサクセスへの近道と言えるでしょう。

まとめ

カスタマージャーニーマップ作成ワークショップは、組織を一つのチームとして統合し、共通の顧客視点を持つための強力なツールです。部門を超えた議論は、単なるアイデア出し以上の価値を生み出し、企業の競争力を高める源泉となります。

株式会社ドラマでは、こうしたワークショップの設計からファシリテーション、その後のWeb活用やUX改善までをトータルでサポートしています。顧客体験の再定義が必要だと感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。一過性の成果にとどまらない、本質的な価値を共に創り上げていきましょう。

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