近年、BtoB領域においても、電話やメールを中心とした従来型の営業手法だけでは、十分な成果をあげにくくなっています。
顧客自身がSNSやWeb上で情報収集を行い、比較・検討できるようになった今、営業活動にも新たなアプローチが必要です。
そこで注目されているのが、SNSを活用して関係性を築くソーシャルセリング。
本記事では、ソーシャルセリングの概要から実践ステップ、リード獲得につなげるためのポイントまで解説します。
ソーシャルセリングとは?
ソーシャルセリングとは、SNSを活用して見込み顧客との関係性を築き、信頼を深めながら商談やリード獲得につなげていく営業手法のこと。
電話やメールによる一方的なアプローチとは異なり、投稿への反応や情報発信を通じて、相手の関心や課題に寄り添ったコミュニケーションを重ねていく点が特徴です。
また、一般的なSNS運用は認知やリーチの拡大が目的とされるのに対して、ソーシャルセリングは営業活動の一環として活用されます。企業アカウントではなく、営業担当の個人アカウントを活用し、営業と見込み顧客との1対1の交流が基本となります。
このように、ソーシャルセリングは、SNSを通じた関係構築を起点に、意思決定や購買につなげることが狙いです。
ソーシャルセリングがBtoBで注目される理由
ソーシャルセリングがBtoBで普及し、注目を集めている理由を以下の2つの観点から解説します。
- SNSの利用者増加
- BtoBの購買行動の変化
SNSの利用者増加
近年、SNSの利用者数は世界的に増加しており、個人利用にとどまらず、企業活動においても欠かせない存在となっています。
Meltwaterの調査では、企業の61.8%%が「2026年においてオーガニックなSNSはより重要になる」と回答しており、SNSを戦略的なチャネルと位置付けている企業が増えていることがわかりました。
また、マーケティング担当者が活用するSNSでは、Instagram(57.9%)、X(53.5%)、Facebook(35.2%)が上位に挙がっており、顧客接点の創出や情報提供の手段として幅広く使われています。
このように、SNSは情報発信や収集の場として影響力を高めており、ビジネスの意思決定にも関与する存在です。
その結果、BtoB領域でもSNSを活用したソーシャルセリングが注目されるようになっています。
BtoBの購買行動の変化
近年、BtoBの購買行動は、従来の営業主導型のアプローチから、顧客自身によるデジタルチャネルを介した情報収集・意思決定へと変化しています。
実際に、多くのBtoB企業の購買担当者が検討段階における情報収集にSNSを活用しています。商談の初回打ち合わせ時点で、「SNSで投稿を見ていました」などと言われるケースも決して珍しくありません。
このような状況では、商談の前から見込み顧客との接点をもち、継続的に情報提供やコミュニケーションを行う必要が出てきます。
購買担当者は、SNS上で発信される情報や他社の意見を参考にしながら比較・検討を進めるため、早い段階で信頼できる情報源として認識されるかどうかが、その後の検討プロセスに大きく影響するのです。
こうした購買行動の変化を背景に、SNSを起点としたソーシャルセリングがBtoBで注目されています。
ソーシャルセリングの実践ステップ
ここからは、ソーシャルセリングを実践するための具体的な方法を6つのステップに分けて解説します。
- 目的とターゲットを明確にする
- 活用するSNSを決める
- プロフィールと運用方針を設定する
- 継続的に情報発信を行う
- 見込み客と自然に交流する
- データをもとに改善を重ねる
目的とターゲットを明確にする
まずは、ソーシャルセリングで何を達成したいのかを明確にすることが大切です。
新規リードの獲得や既存顧客との関係強化など、目的によって発信内容やアプローチは大きく変わってきます。
合わせて、どのような企業・担当者をターゲットとするかも決定しましょう。
業種から企業規模、役職、抱えている課題まで、ターゲットとなる人物像をできるだけ具体化することで、実践の方向性が定まり、見込み顧客との接点も気づきやすくなります。
活用するSNSを決める
次に、ソーシャルセリングに活用するSNSを選定します。
SNSごとに利用者層や情報の拡散力、コミュニケーションの形式が異なるため、自社の目的やターゲットとの相性を考慮することが欠かせません。
たとえば、ビジネス情報の発信や人脈形成にはLinkedIn、情報収集や業界動向の把握にはX、動画における理解促進にはYouTubeなど、目的に応じた使い分けが求められます。
限られたリソースを有効に活用するためにも、注力すべきSNSを明確にしておきましょう。
プロフィールと運用方針を設定する
SNS上のプロフィールは、デジタルの名刺代わりとなる重要な情報です。
所属や専門分野、経験年数などがひと目で伝わるように整理し、信頼感を持ってもらえる内容を意識しましょう。
また、信頼性を高めるには、プロフェッショナルな写真を設定したり、具体的な数字や実績を盛り込んだりするのも効果的です。
プロフィールの設定と合わせて、情報発信の目的、投稿のテーマやトンマナ、投稿の頻度といった運用方針も決めておくことが大切です。
プロフィールと発信内容に一貫性をもたせることで、専門性や強みが伝わりやすくなり、見込み顧客からの信頼を得やすくなります。
継続的に情報発信を行う
ソーシャルセリングでは、短期的な成果を狙うのではなく、継続的な情報発信によって信頼を積み重ねていくことが重要です。
顧客が抱えている課題解決のヒントや業界動向、自社の知見など、見込み顧客にとって価値のあるコンテンツを発信していきましょう。
また、専門的な情報だけでなく、日々の取り組みや裏側が垣間見える投稿など、親しみやすさを感じられるコンテンツを織り交ぜるのも効果的です。
定期的に発信を続けることで、接点を維持しやすくなり、検討段階で思い出してもらえる存在になりやすくなります。
見込み客と自然に交流する
ソーシャルセリングで見込み顧客との関係性を築くには、情報発信と合わせて自然な交流も欠かせません。
リアクションやコメントへの返信、相手の投稿への反応など、小さなやりとりを積み重ねることで相手に興味を持ってもらいやすくなるでしょう。
この際、いきなり商談を持ちかけるのではなく、相手の関心や課題に寄り添った自然かつ適度なコミュニケーションを心掛けることが大切です。
自然な交流を通じて信頼関係が築かれることで、必要なタイミングでの提案や商談につながりやすくなります。
データをもとに改善を重ねる
ソーシャルセリングは、一度施策を実行して終わりではなく、結果を振り返りながら改善を重ねていくことが重要です。
投稿の表示回数やエンゲージメント、フォロワー数、プロフィール閲覧数などのデータを定期的にチェックし、どのような投稿が反応を得ているのかを把握しましょう。
数値をもとに戦略の最適化を重ねることで、ソーシャルセリングの成果を高めることができます。
ソーシャルセリングでリード獲得につなげるためのポイント
ソーシャルセリングでリード獲得につなげるための大切なポイントを3つ解説します。
- 関心度に応じたアプローチ設計を行う
- 営業とマーケティング全体で取り組む
- ソーシャルリスニングを活用する
関心度に応じたアプローチ設計を行う
ソーシャルセリングでは、見込み顧客の関心度を見極めたうえで、適切な距離感で接点を持つことが大切です。
すぐに営業活動をしてしまうと、警戒心を持たれてしまうことも。まずは、投稿やコメントを通じて相手にとって有益な情報を提供し、自社のことを少しずつ知ってもらいましょう。
顧客の反応を観察しながら徐々に関係性を深めていくことで、自然と信頼関係が深まり、リード獲得にもつながりやすくなります。
営業とマーケティング全体で取り組む
ソーシャルセリングは、個人単位でも始められますが、組織として取り組むことでより大きな成果が期待できます。
そのためには、営業部門とマーケティング部門が共通のゴールや指標をもち、連携しながら進めることが欠かせません。
たとえば、リードの獲得数だけでなく、商談化率や商談の質まで含めたKPIを共有したり、定期的に情報交換の場を設けて顧客の反応や現場の声を擦り合わせたりすることで、施策の精度は高まります。
さらに、データや顧客情報を一元的に管理できる環境を整えることで、部門間の認識ズレを防ぎやすくなります。
営業とマーケティングが同じ視点で顧客と向き合う体制を築くことが、ソーシャルセリングを継続的な成果につなげるポイントです。
ソーシャルリスニングを活用する
ソーシャルセリングを効果的に進めるには、発信や交流に加えて、顧客の声を「聞く」ことも欠かせません。
そこで、顧客理解を深める手段として注目されているのが、SNS上の投稿や反応を収集・分析するソーシャルリスニングです。
Meltwaterの最新調査によると、実際に37.4%の企業がソーシャルリスニングを導入しており、今後実施予定の企業(30.5%)を含めると全体の約7割にものぼります。
Meltwaterのソーシャルリスニングのツールを活用すれば、SNSはもちろん、ブログや口コミサイト、動画コメントまで含めた幅広いオンライン上の言及を一元的に把握することが可能です。
自社や競合に関する話題をリアルタイムで追跡・分析できるため、顧客の本音や関心の変化、潜在的な課題をデータとして捉えやすくなり、ソーシャルセリングの精度を向上できます。
まとめ
本記事では、BtoBにおけるソーシャルセリングの概要や注目される背景、具体的な実践方法、成果につなげるためのポイントについて解説しました。
ソーシャルセリングは、短期的な売り込みではなく、SNSを通じて信頼関係を築くことで商談やリード獲得につなげていく手法です。
目的やターゲットを明確にし、継続的な発信とデータ活用を重ねることで、営業活動の質を高めることができます。
自社の営業・マーケティング施策の一環として、ソーシャルセリングを取り入れてみてはいかがでしょうか。
AUTHOR
この記事を書いた人
和本 賢一(わもと けんいち)
株式会社ドラマ 代表取締役
16歳でWEB制作事業を創業、業界歴25年超。WEB制作4,300件超・補助金申請470件超の実績を持つ。Shopify・STORES公式認定パートナー。SEO/LLMO/AIOを組み合わせた次世代検索対策に取り組み、戦略立案から制作・分析改善まで一気通貫で中小企業を支援。浄土真宗本願寺派僧侶としての顔も持ち、約800年続く伝統と最先端のデジタル技術を融合させる視点で経営に携わる。